2018年杭州师范大学724综合日语考研真题.pdf


杭  州  师  范  大  学

     2018 年招收攻读硕士研究生入学考试题

 

                考试科目代码:     724      

                考试科目名称:  综合日语    

   



说明:考生答题时一律写在答题纸上,否则漏批责任自负。

   



問題1 次の文の下線をつけた言葉は、どれに当たるか、それぞれのA、B、C、Dから一番適当なものをーつ選びをさい。(1点×20=20点)

1、彼は仕事もできるし、周りの人望も厚いが、融通が利かなくて困る。

A とおつう   B とおずう   C ゆうつう   D ゆうずう

2、このたび当社と業界大手のA社が合併することになった。

A ごうべい   B ごうへい   C がっぺい   D がっへい

3、最近はコスト削減を目指す会社が多い。

A そくげん   B はくげん   C さくげん   D けいげん

4、商品の売上を伸ばすには、新しい市場の開拓しかない。

A かいせき   B かいたく   C かいとく   D かいしょう

5、自社の利益だけを考えず、お互いに妥協していかなければならない。

A だいきょう   B だきょう   C とうきょう   D ときょう

6、現在地震の被災地では、街の復興を急いでいる。

A ふっこう    B ふっきょう   C ふくごう   D ふくぎょう

7、彼女はみんなの嫌がることでも率先してやる人だ。

A りっせん    B りつせん   C そっせん   D そつせん

8、この施設では大学生のボランティアを募っている。

A したって    B つのって   C つわって   D やとって

9、今夜は雲もなく、きれいな満月がよく見えた。

A まんつき    B まんづき    C まんげつ   D まんがつ

10、彼女の態度が素っ気ない。何かあったのだろうか。 

A すっきない    B すっけない   C そっきない   D そっけない

11、次の試合では新人がチャンピオンに勝負を挑むそうだ。

A のぞむ     B はずむ     C よどむ    D いどむ

12、この町の人口はもう飽和状態に達している。

A ぼうわ     B ほうわ     C ぼうあ    D ほうあ

13、寄付金だけでは必要経費を賄いきれなかった。

A まかない   B あきない   C つどい    D つぐない

14、近くを流れる清らかな川の音が部屋の中にいても聞こえる。

A そよらか     B せいらか    C きよらか    D ほがらか

15、この辺に騒音がひどい。

A さわおと     B そういん    C そうおん    D そうね

16、道の目印が大切だ。

A めいん      B もくいん     C めじるし     D めしるし

17、人のいる気配がする。

A けはい      B きはい     C きばい     D きくばり

18、まったく礼儀の弁えない人。

A まわき      B わきも     C わまえ      D わきま

19、殺人を裁判する。

A さいばん    B ざいはん     C ざいばん     D さいはん

20、ビルが崩壊した。

A ほうがい     B ほうかい     C ぼうかい     D ぼうがい

 

問題2 (  )に入れるのに最もよいものを一つ選びなさい。(1点×20=20点)

1、こんなに何度も僕の気持ちを伝えいているのに、彼女は(   )分かっていない。

A まるっきり    B なんだかんだ     C なにより    D すんなり

2、この状況を打破するため、一計を(   )てみた。

A 案じ       B 演じ         C 報じ      D 感じ

3、この道をまっすぐ行くと、しばらくは(   )な坂道が続いている。

A ゆるやか     B しなやか      C なめらか     D おろそか

4、最近公共の場所でのマナーの悪さが目立つ。親の(   )が悪いのだろう。

A しかけ      B しかり       C しあげ      D しつけ

5、会社に入ったら、まずビジネス(   )について勉強したほうがいい。

A マニュアル    B マナー      C マネー      D パート

6、彼の話はいつも(   )。聞いているうちに何がなんだか分からなくなってしまう。

A なれなれしい   B そっけない   C ややこしい    D はなばなしい

7、村田氏の新作小説は、予約だけでかるく100万部を超える(   )だ。

A 見晴らし     B 見込み      C 見積もり     D 見直し

8、彼のことだから少しは遅れるのではないかと思いきや、時間(   )にやってきた。

A きっかり    B がっちり     C てっきり     D じっくり

9、目撃者の証言は(   )で、犯人を特定することはできなかった。

A はらはら    B ふらふら     C まちまち    D ずるずる

10、隣国の新兵器発明は我が国の平和を(   )ものだ。

A おびやかす    B おどろかせる    C おびさせる    D おとしめる

11、答えが分からず困っていたら、隣の人がこっそり(   )をくれた。

A ポイント     B ヒント      C コメント     D スマート

12、操作ミスで左右(   )に印刷してしまった。

A あべこべ    B でこぼこ     C あやふや     D ちやほや

13、山田さんは仕事をお願いすると、いつも(   )引き受けてくれる。

A たくましく    B むなしく     C はかなく    D こころよく

14、教授のやり方に不満を持つ学生たちは、次の授業を(   )することにした。

A カット     B ボイコット     C フォロー     D ナンセンス

15、予想していなかったストーリーの(   )に誰もがあっと驚いた。

A 回転     B 展開     C 打開     D 流転

16、普段は文句一つ言わない彼女が珍しく家族のぐちを(   )。

A こぼした    B もらした    C なげいた    D とぼけた

17、長いトンネルを抜けると、街の明かりが(   )と見え始めた。

A ぷかぷか    B ひそひそ    C ぼろぼろ    D ぽつぽつ

18、売上が下がったせいで、来月から残業(   )がなくなることになった。

A 手付け     B 手当て     C 手取り     D 手当たり

19、頭が(   )いるときは、ぱっといいアイディアが浮かぶ。

A とおって     B はじいて    C さえて      D さめて

20、最近は(   )が欲しくて雑誌を購入する人が増えているそうだ。

A 付録      B 付属     C 付加     D 付箋

 

問題3    の言葉に意味が最も近いものを一つ選びなさい。(1点×10=10点)

1、立派な紳士といえども、礼儀を忘れることがある。

A 紳士ゆえに            B 紳士だと自分で言っても   

C 紳士だったのに           D 紳士でも

2、動物達は教えなくても、おのずから生きる知恵を獲得する。

A だんだんと    B おそれずに     C 自動的に     D ひとりでに

3、聞くにたえない汚い言葉で叱られた。

A ほとんど聞こえないほど        B 聞いていることができないほど

C いままでに聞いたことがないほど    D 聞いていると終わりがないほど

4、漢字の書き順はともあれ、正しい読み方を覚えなさい。

A 書き順はたくさんあるから     B 書き順は大切だから後でゆっくり    

C 書き順よりも、今は先に      D 書き順は全く覚える必要ないので

5、家庭計画を行っているにしては、人口が増えている。

A 行わないと、その結果     B 行っているからといって

C 行っているわりに       D 行っているから、その結果

6、慎重な計画をぬきにして新会社を設立することはできないだろう。

A 全員で検討しないで      B 重要な検討を行って

C 慎重に検討しないで      D 計画をしっかり考えぬいて

7、姑がうるさくてかなわないので別居したい。

A うるさいが困るほどではない       B うるさくて困ってしまう

C うるさいが、私は彼女に負けている     D うるさいばかりだ

8、新しい事務所を探して、道を行きつ戻りつした。

A 行ってから戻った           B 行ったが戻ってしまった   

C 行ったり戻ったり何回も繰り返した   D 行った後すぐ戻った

9、忙しさのあまりともするとそっけない態度をとってしまうきらいがある。

A もともとそうだった   B そんなことになりがちだ   

C ときどきそうなる    D いつも必ずそうだ

10、なまじ知っているより、全然知らないほうがいいということもある。

A 知りすぎている     B 不十分だが知っている  

C ほとんど知らない    D あまりよく知らない

 

問題4 次の文の(    )に入れる最もよいものを一つ選びなさい。(1点×20=20点)

1、自分のミスを他人のせいにするとは、不愉快(   )。

A かぎりない   B きわまりない   C のいたり  D に越したことない

2、長年の努力の末に、ようやく満足に(   )結果が出せた。

A 足る     B 応じた      C たえる   D すぎない

3、私がここまでこれたのは、周りの人の助け(   )。

A あったしだいだ   B あるこそだ   C あったことだ   D あってのことだ

4、上司にはほめられるし、彼からはプロポーズされるし、最近いいこと(   )。

A ずくめだ    B まみれだ    C めいている     D がちだ

5、ルールを守らなかったのだから、厳しく罰せられて(   )。

A たまらない   B ならない   C しかるべきだ    D しかたがない

6、最近は積極的な女性(   )、男性は消極的な人が増えているようだ。

A. にひきかえ    B にかかわり    C をよそに     D をおいて

7、仕事が忙しく、スポーツジムを(   )、体重は増える一方だ。

A やめたところで            B やめてからでないと  

C やめただけあって           D やめてからというもの

8、上司の指示に従い、仕事を進めるのはいいが、何度も方針を(   )。

A 変えないわけにはいかない       B 変えるにこしたことはない

C 変えられてはかなわない        D 変えようにも変えられない

9、危ないところを助けてもらったのだから、一言お礼を(   )。

A 言わないではおかない        B 言わないではすまない

C 言うにはあたらない         D 言わなければそれまでだ

10、仕事の忙しさも考えず、友達に(   )スポーツクラブに入会してしまい、後悔し

ている。

A 進められるばかりに         B 勧められるままに

C 進められるにいたって        D 進められるに応じて

11、T市の夜祭りは、真夜中から夜明けに(   )にぎやかに繰り広げられる。

A そって      B わたって      C 通して      D かけて

12、どこに行く(   )歩いていると、いつの間にか大きな寺の前に来ていた。

A わけもなく     B が早いか     C ともなく    D つもりで

13、明日の模擬試験は、時間も内容も本番の試験に(   )行います。

A まねして    B よって      C 即して      D 同様に

14、この風邪はほうっておくと、肺炎になる(   )があります。入院したほうがいいですね。

A おびえ     B 気味       C 向き       D おそれ

15、2年前に私がこの国に来た時は、まわりの人の声はうるさい音に(   )。それがある日突然、意味のある言葉として聞こえてきた。

A 相違なかった  B すぎなかった   C たえなかった    D 聞こえなかった

16、大人だって急に酒を飲むと死ぬことがある。子供に酒を飲ませてはいけないのは、(   )。

A いえなくもない           B いうまでもない

C いわないほうがいい         D いわないでもない

17、「子供時代は思い切り遊ばせたほうがいい」と、皆思っている。ところが、自分の子供の(   )、「少しでも早く勉強を始めさせたほうがいいのでは」と不安にかられてしまう。

A ことをみると  B こととなると  C ことにすれば  D ことであろうと

18、その光景を一目見る(   )、彼女は恐怖で倒れてしまった。

A が最後     B とたん     C なり      D そばから

19、食べるものがなくて死ぬ人がいる(   )で、日本のように食べ物を捨てている国もある。

A かたわら     B 一方      C 片方     D 半分

20、人々のやり方は気にしないで、あなたはあなた(   )頑張ればいいんですよ。

A さえ       B なりに     C しか     D ほどに

 

問題5、次の各文の内容を最もよく表しているものをそれぞれA.B.C.Dの中から一つ選び

なさい。(2点×5 =10点)

1.  各地を旅行するたびに、同じ日本でも、土地が違うと人々の生活も違うものだ、と痛感させられることが多い。

もちろん、たとえば「駅前の風景は全国どこでも同じようなものになった」などという人がいるように、平準化の傾向はある。だが、それは表面のことだ。それぞれの土地の特徴は、世の中が便利になり、情報や交通の量が多くなっても、そう簡単には消えない。

それは土地の人に会ってゆっくり話をすれば、すぐ分かる。早い話、生活の時間割りからして違う。時間の流れ方も違う。関心のありかたが違う。空気がきれいかどうかという違いもある。

 

A. 「土地の特徴」は生活の便利さから見出すことができる。

B. 「土地の特徴」は情報の量から見出すことができる。

C. 「土地の特徴」は交通の便利さから見出すことができる。

D. 「土地の特徴」は人々の過ごし方から見出すことができる。

 

 

2. 今本屋がピンチだ。米国の書店チェーン2位ボーダーズ・グループが今週、破綻した。650店以上の店舗網を誇ったが、インターネットでの書籍販売、電子書籍に侵食された。日本でも本屋はこの10年で3割減った。大手は健闘するも中小は苦しい。風説を確かめるためでもいい。週末は本屋へ、ぜひどうぞ。

 

A. 650店以上の店舗網をもつボーダーズ・グループは今健闘している。

B. 米国2位の大手書店チェーンが今ピンチである。

C. インターネットでの書籍販売、電子書籍などの原因で日本でも本屋が減った。

D. 風説を確かめるためには本屋へ行くべきだ。

 

3. このあいだ近郊の山を歩いたら、間伐されない人工林は昼も暗く寒々としていた。だ

が農家の耕作放棄地に比べ、話題になることは少ない。新緑や紅葉は愛でるが林業に

は縁遠い。それが平均的な関心度なのだろう。

日本の国土の約7割は森林が占める。屈指の森林国だが、国民1人あたりで割ると、とたんに「貧林国」になると、かつて只木さんが書いていた。貧なればこそ、共有財産としてのありがたみは計り知れない。

 

A. 人々の関心は「貧林国」になった現状に傾いている。

B. 人々の関心は農作に傾いていて、森林のことはあまり気にしない。

C. 日本は人工林が昼も暗く寒々とするくらい、屈指の森林国である

D. 農作物は育てなくてはいけないが、森林は手入れしなくてもよい。

 

4.  昨秋のたばこの大幅値上げは、喫煙習慣に深手を負わせるかにみえた。ところが、日

本たばこ産業の今年3月期決算は、前期なみの営業利益になる見通しという。たばこ離れが予想ほどではなく、増税幅を超える値上げが埋め合わせたようだ。世界2位のたばこ会社BATの日本法人によると、喫煙者は平均100日分を買いだめた。その在庫も尽きたとみえ、販売は1月から回復が著しい。約2割が禁煙に挑んだが、年末には半数が脱落、節煙で終わる人が多いらしい。

メーカーは値上げ前と同じ業績に浴す。国は喫煙人口を減らす政策目的を達し、税収もしっかり確保しそうだ。哀れニコチン依存症の患者だけが、体を張って前より重い税金を背負う、独り負けの構図である。

 

A. たばこの大幅値上げにより、喫煙者の2割がたばこを止めた。

B. 喫煙者がたばこを平均100日分買いだめたから、メーカーの在庫が尽きた。

C. 大幅値上げにより、日本たばこ産業の営業利益はだいぶ増えた。

D. 増税の結果、益々不利な立場に追込まれるのはたばこを吸い続ける者だけである。

 

5. 近ごろの漫才には、「もうええわ」という言葉が頻発するそうだ。2人が掛け合い、話がかみ合わないと「もうええわ」。捨てぜりふを放って打ち切る。ここで客席はどっと笑うのだろう。こちらは笑ってもいられない。

長野県に公共事業を評価監視する委員会がある。煙たい意見を述べる委員らに、県は「もう結構」とばかり、任期半ばで辞職を勧告したという。うち1人の有識者は、意思確認もないまま解任されてしまった。長野は昨夏、「脱ダム」を掲げた前知事から、ダムを是とする現職に代わった。県側は否定するが、勧告された委員らは 「邪魔者の一掃か」と不信を募らせている。行政と漫才は違う。異なる意見に根気よく耳を傾けるのが、政治の王道ではなかったか。

 

A. 長野県はダムの建設に対する反対意見をよく聞いてみるべきた。

B. 長野県はダムの建設を賛成する政府機関の関係者を免職にした。

C. 長野県はダムの建設を認める知事に代わって、それを否定する知事が就任した。

D. 長野県は煙たい意見を述べる委員らに「もう結構」と言って辞職させた。

 

問題6 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。(2点× 20 =40点)

(1)

雨がやんだ。

頭上の雲が切れて、わずかな青空がのぞく。

手提げかばんをひらたくして頭にのせ、学生服のズボンのすそをたくしあげ(注1)て、小走りに急いでいた少年は、しばらくのあいだ、雨がやんだことに気づかなかった。考えごとに心を奪われていたのである。

黒く濡れたアスファルトの歩道を歩きながら、①自分の歩みにしたがって飛び散る小さなしぶきを、少年は、どうでもいいような目でながめていた。

このところ、なにもかも、うまくいっていない。このあいだのテストの成績が悪かった。母親は、課外の活動をやめろうという。親しかった友達とは、ちょっとしたことから仲たがいをした。好きなレコードを買う小遣いがたりない。そのほか、具体的な形になっていないもやもやがいくつもあった。②雨は、自分の上にばかり降るような気がする。③いっそぬれるなら、もっともっとずぶぬれになったら、かえってさばさばするだろうと思う。

国道の横断歩道一踏み出そうとしたとたん、信号が黄になる。そんなことにさえ気がいらだって、少年は小さく足踏みした。

さっきからうしろで、小さい子供たちの声がしている。近くの保育園の帰りなのだろう。自分にもあんなころがあった。となかば④上の空で思いながら、ばんやり信号の変わるのを待っている少年の耳に、いままで他愛もない(注2)おしゃべりだった子供たちの声が、きゅうにはっきりした意味を持ったさけびになってひびいてきた。

――にじが出てるよ。

――にじだ、にじだ。

思わずふりかえって、子供たちがまっすぐに指差す北の空を見上げると、ああ、確かににじだ。赤、黄、緑、太いクレパスで一息に引いたような線が、灰色の空を鮮やかにまたいでいる。上端はおぼろに(注3)空中に消え、下はビルと森の影に隠れて、見えているのはほんの一部分だ。

少年は、自分でも思いがけない衝動にかられて、あたりを見まわした。

――高いところがないか、あれが全部見えるところが。

あった、すぐ目の前に、国道を横切る歩道橋が。少年はためらわず、そちらへ駆けた。いつもは、階段の上り下りを面倒がって、⑤ついぞ利用したことのない歩道橋だったが。

階段を二段ずつかけのぼって、車の流れの真上に立つと、にじはまさに、国道の真正面から立ちのばっている。手すりにつかまって、少し背のびをしながら身をのりだすと、このはなやかな橋のはじめから終わりまでをひと目で見渡すことができた。

さっきの子どもたちが、⑥少年の意図を察したらしく、あとから続いて駆け上ってきて、思い思いの歓声をあげている。

少年は、大きく息を吸った。この前、にじを見たのはいつだったろう。この子供たちくらいの小さいころ――いや、もっとずっと前のような気がする。⑦もしかしたら自分はいま、生まれてはじめてにじを見たのではないかと、少年は思った。

目の下を、車の列がたえまなく流れてゆく。傘をすぼめた人たちが、上も下も見ないで自分の道を急ぐ。誰も、⑧頭上の出来事に気づかない。あるいは気がついても、なんとも思わないのか。だれひとり、立ちどまって、この大空のドラマを眺めいるものはない。

少年はふと、はじめて、⑨自分のことをめぐまれたものに感じた。

――お―い、何してんだあ。

下から呼ばれて、身をのりだすと、仲たがいしたはずの友達が、かばんを振り回しながら、呆れたようにこちらを見あげている。

――お―い、にじが見えるぞ。あがって来いよう。

少年も大声で呼び返す。友達は、少年の指差すほうをひと目見て、さっきの少年と同じ衝動にかられたように走り出した。歩道のはしにけつまずいて、かばんをほうりだし、あやうく転びかける。

――早く早く。

少年は笑いながら、体をずらして、にじを正面に見る場所を空け、友達がのばってくるのを⑩足ぶみしながら待った。

(杉美紀子 『にじの見える橋』一部改変)

(注1) たくしあげる:手でまくり上げる

(注2) 他愛もない:とりとめがない、まとまりがない

(注3) おぼろに:はっきりしない、ぼんやりと

 

1.①「自分の歩みにしたがって」の意味として最もふさわしいものを次から選びなさい。A. 自分が歩くたびに        B. 自分が歩く前方に

C. 自分の歩いた後に        D. 自分の歩くまねをして

 

2.②「雨は、自分の上にばかり降る」は少年のどのような気持ちを表しているか。

A. 自分一人だけ恵まれない存在だと思う気持ち

B. 何もかもうまくできない自分は天から罰を受けているという気持ち

C. 雨に降られてずぶ濡れになったので嫌だと思う気持ち

D. 雨なんか降らなければいいのにと思う気持ち

 

3.③「いっそぬれるなら、もっともっとずぶぬれになったら、かえってさばさばするだろう」とあるが、このときの少年の気持ちはどのようなものか。

A. ひがみ     B.意地          C. やけ       D. 恥

 

4.④「上の空」の意味として最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. 気持ちよく感じる様子           B. 昔のことを思い出す様子

C. 一つのことに集中している様子    D. 他のことに気を取られている様子

 

5. ⑤「ついぞ利用したことのない」の意味として最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. つい最近使ったことがない      B. 今まで一度しか使ったことがない

C. あまり多く使:ったことがない  D.今まで一度も使ったことがない

 

6.⑥「少年の意図」とあるが、具体的にどのようなことか。

A. 国道を横切ろうとすること       B. 元気を出そうとすること

C. 橋を渡ろうとすること           D. にじの全体を見ようとすること

 

7.⑦「もしかしたら自分はいま、生まれてはじめてにじを見たのではないか」とあるが、このように思ったのはなぜか。

A. ようやく、高いところでにじ全体を見ることができたから。

B. ようやく、色鮮やかな美しい理想のにじが出たから。

C. それまでは、にじがめったに出なかったから。

D. それまでは、にじを見ることなどどうでもいいことだったから。

 

8.⑧「頭上の出来事」とあるが、具体的にどのようなことか。

A. 華やかなにじが出ていること

B. 少年たちが歩道橋の上でにじを見ていること

C. 少年が歩道橋の下を見下ろしていること

D. 歩道橋の上に立っと、にじが全部見えること

 

9.⑨「自分のことをめぐまれたものに感じた」とあるが、それはなぜか。

A. にじを見て感動することができたから。

B. 生まれてはじめてにじを見ることができたから。

C. にじが出ているのを一番に知ることができたから。

D. にじが出ているのを友達に教えることができたから。

 

10.⑩「足ぶみしながら待った」とあるが、これは少年のどのような気持ちを表しているか。

A. 誇らしい気持ち            B. 恥ずかしい気持ち

C. 待ち望んでいる気持ち      D.苛立っている気持ち

 

(2)

思いつめるとは、どういうことなのだろう。思いつめた顔には、確かに一種の美しさがある。ただ―つのことに、自分の全存在を注ぎこんでいる者の、一生懸命な美しさ、夢中な美しさなのだが、その美しさは、例えば仕事やスポーツや勉強に打ち込んでいる時の美しさとは違って、明るくない。いわば追い詰められた獣の美しさなのであって、もう進むべき方向が見つからないというところに、ある悲劇的なものが感ぜられ、当人はそんなことに気づいていないからこそ、①それが他人には美しく思えるのである。

しかし同時に、思いつめた顔には一種の醜さもある。それはおそらく思いつめた人間の、そのいわば手詰まりの状態、静止してしまって動いてゆけない状態からくるものだろうと思う。つまり思いつめた人間は、ある意味では②固定観念にとらわれていて、自由を失っているのだともいえよう。当人はそういう状態に苦しみぬき、時には自分の生命さえかけているのだが、それにもかかわらず、そこには時に愚かしさすら感ぜられ、他人は冷酷にもむしろ可笑しみを覚えることもあるのだ。

そういうつまった状態には、人間はできるだけ入り込まぬほうが望ましいし、そんなに③切羽詰まってしまうことは、一生のうちそう何度もないことだろうが、それでも人間にとって、何かを思いつめることは大切だし、必要だと思う。なぜなら本当は、そういう形でしか人間は生きた思想をつかんでゆくことはできぬはずだからである。

思うという行為は、考えるという行為に比べて、より感情的であり、より不正確である。物思いという言葉にも表れているように、それは時にはあまりにも漠然としていて、まるで自分を甘やかしているようにも取れることがある。けれど、また④それゆえにこそ、思うことは考えるということに比べて、よりいっそう未分化であり、人間のより多くの部分をその中に巻き込む。

考えるのが主として理性の働きであるとすれば、思うのはおそらくまず感ずるということにその基礎を置いている。考えることは時に現実を離れて抽象的な理性の遊びに堕するが、思うことの堕落はもっと肉体的な自己陶酔に向かう。

が、こういうふうに、思うと考えるとを分けてみても、実際にはこの二つの心の働きは、常に互いに補い合って一つなのである。思ったことを考えることでより精密化し、考えたことをもう一度思って見ることで、より全体的にすることを、無意識のうちに私たちは繰り返している。思いが誤っていることもあるし、考えが間違っていることもあるのだが、この微妙な⑤チェンジ・オブ・ペースが、私たちの頭を柔軟にしていることは確かである。

そうしてみると、思いつめるという状態も、それがどんなに切実なものであれ、⑥絶対的な終点ではありえない。思いつめたその先に、まだ何かがあるはずで、思いつめた自分をもう一度角度を変えて考えてみることで、その状態の破れる可能性があるのだ。思いつめた状態はともすればヒステリックになりがちだから、それを打ち破ることは容易ではないし、その思いつめ方の先にはもう、ぎりぎりの決断とそれに伴う行為しかないという場合もあろう。けれどもそれでもなお、人間は考えることはできるのであり、それは決して行動からの逃避ではない。

思いつめてきたその論理と感情の複合が、なまはんかのことで変わるものではないとしたら、その思いつめの出発点となった自分の発想そのものを、もう一度検討してみる必要はないだろうか。どんな思考もそういうことの繰り返しなのではないだろうか。⑦振り子のようなそのダイナミズム(注)なしで、人間の魂の自由はありえない。本当に大切なのは疑うことではなく、信ずることなのだが、一つの信に達するためには、どんなに疑ってもいいのだと私は考えている。

というのも、近頃は⑧出来合いの思想がはびこっていて、一つのことを自分に引き付けて思いつめ、考え抜くという習慣がますます少なくなっているからである。

⑨思想という言葉が二つの (おもう) の積み重ねでできているのはおもしろい。私には、時にそれが思いつめることそのもののように思えることがある。今の平和な日本では一見、思想には、命がかかっていないかのように見える。だが、本当の思想にはそれがどんな日常性の中にあれ、命がかけられているのである。

例えば、いわゆるマイホーム主義にしたところで、それを自分の思想にするためには、権力に抗して妻子を守る覚悟が必要なのは言うまでもない。マイホーム主義もいったん思いつめたら、どんな危険思想になるか分かったものではないのだ。

(注)ダイナミズム:力学のこと

 

11.①「それ」は何を指しているか、最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. 追い詰められた獣       

B. 進むべき方向がみつからないところ

C. 仕事やスポーツなどに打ち込んでいること

D. ある悲劇的なもの

12.②「固定観念」の意味として最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. いつも頭から離れないで、その人の思考を拘束するような考え

B. 固定していて変わらない考え方

C. 柔軟ではなく、融通が利かない頭

D. 頑固で保守的であること

 

13.③「切羽詰まってしまう」の意味として最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. 追いつめられてどうにもならなくなる。

B. 逃げ道が塞がってがっかりする。

C. 途方に暮れて身動きができない。

D. 追い抜かれて気合いが入らない。

 

14.④「それ」は何を指しているか、最もふさわしいものを次から選びなさい。

A. 思うという行為ははっきりしない。

B. 思うという行為は正確でない。

C. 思うという行為は理性を伴わない。

D. 思うという行為は厳しきに欠けている。

 

15.⑤「チェンジ・オブ・ペースが、私たちの頭を柔軟にしていることは確かである」とあるが、具体的にはどんなことを指しているか。

A. 考えるのが主として理性の働きであるとすれば、思うのはおそらくまず感ずるということにその基礎を置いていること

B. 思ったことを考えることでより精密化し、考えたことをもう一度思って見ることで、より全体的にすること

C. 思いが誤っていることもあるし、考えが間違っていることもあるから、両者が訂正し合うこと

D. 思いつめるという状態も、それがどんなに切実なものであれ、絶対的な終点ではありえないこと

 

16.⑥「絶対的な終点ではありえない」とあるが、その理由は何か。適当なものを次の中から選びなさい。

A. 人間が考えることは決して行動からの逃避ではないから

B. 思いつめた状態はともすればヒステリックになりがちだから

C. 思いつめた状態も角度を変えて考えなおすことで、破れる可能性があるから

D. 思いつめ方の先にはもう、ぎりぎりの決断とそれに伴う行為しかないから

 

17.⑦「振り子のようなそのダイナミズムなしで、人間の魂の自由はありえない」と言えるのは何故か、その理由として適当なものを次の中から選びなさい。

A. 人間が自由であるためには、どんな思考も「思う」ことではなく、「考える」必要があるから

B. 人間が自由であるためには、どんな思考も「考える」ことではなく、「思う」必要があるから

C. 人間が自由であるためには、「思う」、「考える」という二つの心の働きが常に互いに補い合う必要があるから

D. 人間が自由であるためには、思いつめて、ぎりぎりの決断とそれに伴う行為が必要であるから

 

18.⑧「出来合い」の意味として適当なものを次の中から選びなさい。

A. 出来あがっているものを比べること    B. 今まさに出来あがったということ

C. みんなで作りあうこと            D. すでに出来あがっていること

 

19.⑨「思想という言葉が二つの(おもう)の積み重ねでできているのはおもしろい」について、どういう点を「おもしろい」というのか、最も適当なものを次の中から選びなさい。

A.「思う」意の「思」と「考える」意の「想」の積み重ねによって、考え抜く習慣が確立されること

B.「考える」意の「思」と「思う」意の「想」の積み重ねによって、命がかけられた考えになること

C.「思う」、「想う」二つの(おもう)の積み重ねによって、より深く思いつめることになること

D.「思う」、「想う」二つの(おもう)の積み重ねによって、しっかりした自己の考えになること

 

20.筆者の考えに合わないものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

A.「思いつめる」ということは、場合によってはどんなに危険思想にもなりかねない。

B. 今の平和な日本では、「思いつめる」ということに命がかかっていない。

C. 近頃は何事においても、「思いつめる」という習慣がますます少なくなっている。

D.「思いつめる」ということなしでは、人間の魂の自由はありえない。

 

問題7 次の要領で解答用紙に作文をしなさい。(30点)

題    目:三十歳の自分へ届けたい手紙

注意事項:1.文体は、手紙文を除いて一律常体にすること。

2.文章は、450字以上、500字以内におさめること。

(句読点も一字とする。もし450字未満、または500字をオーバーした場合は減点になる。)

3.作文用紙には本文だけを書き、題目は書かないこと。

   



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